映画『音響ハウス Melody-Go-Round』

  11月14日より公開されている映画『音響ハウス Melody-Go-Round』を先日鑑賞しました。
 簡単に説明すると、東京・銀座にあり、多くのミュージシャンが使用し数々の名盤が生まれる場となったレコーディングスタジオ・音響ハウスの歴史をミュージシャンや関係者の証言で綴るドキュメンタリー映画なのですが、映画の冒頭を飾るのはギター・佐橋佳幸さん、キーボード・井上鑑さん、ドラムス・高橋幸宏さんが3人一緒にスタジオに入り、エンジニアの飯尾芳史さんとともにおこなうレコーディングの様子。この映画は、映画のために作られた新曲の制作過程を追うドキュメンタリーでもあるのです。
 新曲のレコーディングに参加するのは、前述のメンバーに加え、ヴァイオリンの葉加瀬太郎さんや、村田陽一さん、本田雅人さん、西村浩二さん、山本拓夫さんのホーンセクション、コーラスと作詞をつとめる大貫妙子さんといった日本を代表するミュージシャンたちと、まだ十代前半のヴォーカリスト・HANAさん。
 このメンバーによるレコーディングの光景が実に面白い! 熟練のミュージシャンたちの、高度な演奏を追求しつつも決して緊迫することのない様子は観ていて楽しくなります。自らもレコーディングエンジニア出身で、ミュージックビデオなどを手掛けてきたという相原裕美監督の、自然にスタジオの空気を切り取ったように見せる手腕もお見事です。
 また、レコーディング・映画撮影は2019年におこなわれており、高橋幸宏さんが脳腫瘍の手術を受け療養中である現在、元気にドラムを叩きお話をする姿が映し出されることにも特別な感覚がありました。

 映画の中で制作された楽曲『Melody-Go-Ronud』はデジタルシングルとしてダウンロード販売やストリーミング配信がすでに始まっており、ミュージックビデオのショートバージョンがYouTubeでも公開されています。

 


Digital Single「Melody-Go-Round」Music Video(Short ver.)

 

 もちろん、レコーディング風景に加え、さまざまなミュージシャンが語る音響ハウスにまつわるエピソード、そして映画の最後にほぼすべての出演者に共通して投げかけられるある問いとその答えも興味深いものでした。

 私にとっては、映画の中心となる佐橋佳幸さんと飯尾芳史さんをはじめ、所有するCDにお名前のあるミュージシャン・クリエイターが大勢出演しているということでたまらない作品だったのですが、そうでなくてもレコーディング、音楽制作などに関心がある方なら楽しめる作品ではないかと思っています。たとえば、アップフロントの配信番組『アプカミ』でのレコーディング映像を面白く感じる方なら、この作品も楽しめるのではないかと思います。

 また、この作品は人が“集まる場”とそこで生まれるものを描いており、それは奇しくも現在に特別な意味を持っていると思います。

 上映館は限らているのですが、もし興味を持たれて機会があればぜひご覧ください。

 

onkiohaus-movie.jp


映画「音響ハウス Melody-Go-Round」予告