ハロプロとフェルナンデス

今年2024年、楽器業界の大きなトピックとして、日本のギターブランド・FERNANDESの製造・販売をおこなっていた株式会社フェルナンデスの事業停止・自己破産という出来事がありました。リンクはIT media NEWSの記事です。

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フェルナンデスといえば、1980年代後半から90年代にかけて、当時の音楽シーンにマッチした(当時としては)先進的な仕様や、人気アーティストとのエンドース契約、アンプ内蔵の小型ギター・ZO-3(ぞーさん)の大ヒットなどもあり、まさに国内ギターブランドを代表するブランドであったと思います。
往時の人気を知っていrと破産は意外にも思えますが、ここ10数年、むしろトラディショナルな楽器に回帰する傾向が進んでいること、フェンダーギブソンと言った海外ブランドが日本のアーティストとも積極的に契約する戦略を進めていることなどが、フェルナンデスンは逆風になっていたのかもしれません。

 

で、ですね。実はそのフェルナンデスはハロプロとけっこう深い縁のあるブランドだったのかもしれない、という話。

 

ハロプロ楽曲の制作に携わるディレクター陣のひとりであり、ギタリストとして楽曲に参加することもある鎌田こーじ(鎌田浩二)氏は、フェルナンデスユーザーです。
下の動画は、2003年にSHIBUYA-AXで開催された『つんく♂ファン感謝祭2003』のライブ映像で、バックバンドのギタリストとして参加しているこーじ氏がフェルナンデスのギターを使っているのが確認できます。


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このライブでこーじ氏が使っているのは、テレキャスタータイプのボディと、コンコルドヘッドと呼ばれる鋭角的なヘッドの組み合わせの、フェルナンデスを代表するギターともいえる「布袋モデル」に近いスタイルのギターです。


田中れいなさんがモーニング娘。に在籍中だった2010年8月のブログには、レコーディングスタジオと思われる場所で田中さんがこのギターと同一と思しきギターを持っている写真が掲載されており、このギターが娘。楽曲の制作現場にあったことがうかがえます。

ameblo.jp


そして、このブログの写真を見ると、このギターにはフェルナンデスの開発した「サスティナー」という機構が搭載されていることがわかります。
サスティナーというのは、ギターに内蔵した電池を使用して弦を振動させ持続する(=Sustain)音を出すもので、これを搭載したギターには通常のギターにはないサスティナー用のスイッチが追加されます。こーじ氏のギターには、このスイッチがあるのが上記の写真で確認できます。
過去のフェルナンデスのカタログなどを確認すると、布袋モデルである「TE-HT」シリーズや、ほぼ同じシェイプの「TEJ」sリーズで、テレキャスターシェイプにコンコルドヘッドでサスティナー搭載した、こーじ氏のギターに近い仕様のギターが市販されており、こーじ氏のギターはこれらをベースにしたカスタムモデルかもしれません。

じゃあそのサスティナーってどんな音がするかというのは、デモ演奏の動画を見るとわかりやすいかと思います。動画は次世代モデルであるサスティナー2の動画なのですが、オリジナルのサスティナーでも近い効果が得られます。


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さて、娘。の2011年リリースの楽曲『ONLY YOU』。この間奏のギターソロ(動画4分20秒〜30秒あたり)の最後とか、サスティナーを使ったプレイではないでしょうか?


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ほかにも、娘。2009年のアルバム『プラチナ9DISC』収録の『私の魅力に 気付かない鈍感な人』『It's You』なんかもサスティナーを使ったのではないかと思われるプレイが聴かれ、これらの曲はフェルナンデスのギターを使ってレコーディングした可能性が高いと思います。

11月にリリースされたばかりのモーニング娘。'24の最新アルバム『Professionals-17th』にも、鎌田こーじ氏は数曲でギターを演奏しています。もしかしたら、この最新アルバムのレコーディングにも、フェルナンデスのギターが使われてるのかもしれません。

 

こーじ氏以外のプレイでは、BEYOOOOONDS『ニッポンノD・N・A!』のレコーディングで、朝井泰生氏がフェルナンデスのギターでギターソロをレコーディングしているのが、YouTube配信番組『アプカミ』のレコーディング映像で確認できます。


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ハロプロ楽曲にもその音色を残しているフェルナンデス。会社としては事業を停止しましたが、その技術やこれまで積み重ねてきた歴史が、なんらかのかたちで継承されていくことを願っています。

ハロプロ楽曲大賞'24

今年もハロプロ楽曲大賞に投票しました。
以下に私の投票内容を書いておきます。
(※日付は12月9日になっていますが、実際に内容を更新したのは12月31日です)
 

楽曲部門

『トウキョウ・ブラー』Juice=Juice


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往年のシティ・ポップの名曲を何曲もカヴァーしてきたJuice=Juiceが、オリジナル曲でシティ・ポップ路線に挑んだ曲……と思わせつつBメロでの予想外の展開に驚かされました。シティ・ポップのテイストと現代的なダンスミュージックの融合が面白いです。サウンドシティ・ポップを意識しているのはもちろですが、歌詞もかつての「都会的」なフレーバーを散りばめて「あのころ感」を漂わせているのが見事です。
 

『レインステーション』宮本佳林

「1、(ワン)」「2、(ツー)」のフレーズに続いて「三叉路」(2番では「午前3時」)という言葉が出てくる「数字の遊び」みたいな歌詞が引っかかりを生んで曲の世界にいっそう引き込まれました。1番では「100億年ぶり」、2番では「1/100も」と、対になるようにやはり数字を使っているのも印象に残りました。
「キミは来ない(Say good-bye…)」「皮肉なくらい ツラい未来」「もしくるなら 悔やむんかしら」などの脚韻の効果的な使用とそれによってより引き立てられる哀愁も好きな部分です。
 

『花鳥風月 春夏秋冬』佐藤優樹


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エッジの効いた歪んだギターサウンドとデジタルビートが生む疾走感と、変わりゆく心情をやや古風な言葉で綴った歌詞が生む、やや硬質な切なさが刺さる曲でした。間奏のギターフレーズにオルガンが重なっていくところなど「こうじゃなきゃ!」みたいなカッコよさがあって素晴らしいです。
 

『勇敢なダンス』モーニング娘。'24


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シンセサウンドをメインとしつつも(おそらくサンプリングの)ギターのカッティングサウンドも相まって、エレクトリックでありながらエモーショナルな「熱さ」を持ったビート感が心地よかったです。そんなサウンドとドラマティックなメロディ、内心の葛藤も感じさせる歌詞が、抑えられない感情の激しさを曲として伝えるようです。
 

『内緒だよ』モーニング娘。'24 [小田さくら羽賀朱音]

おそらく通常のレコーディングの際より小さな声で、マイクに近づいて囁くように歌ったのではないかと思われるような声が生むくすぐったさと、その声だからこそ伝えられる「心地よい関係への想い」。レコーディングされた音源だからこそ表現できる情感を感じた1曲です。
 
 

MV部門

『Good Luckの胸騒ぎ』OCHA NORMA


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1番2番はワンコーラス分をワンカットで通し全体でも4カットと、最長1分半の長回しが印象的なビデオクリップ。1番・2番のAメロBメロではカメラの早い横振りを多用してカットを割らずにスピード感を出し、サビではゆっくりとした移動で見せることで変化をつけているのが巧みな見せ方だと思います。間奏後のサビであえて画面にひとりだけがいる構図にして「一人でいちゃ始まんない」の歌詞に合わせるように全員が揃ったカットに切り替える演出も見事です。
 

『花鳥風月 春夏秋冬』佐藤優樹

比較的シンプルな構成のミュージックビデオではありますが、色彩の配置とそれを引き立てるようなカラーコレクションによってすべてのカットがグラビア過写真集の1ページを見ているよう。見入ってしまう映像でした。
 

『勇敢なダンス』モーニング娘。'24

舞台で踊るメンバーをさまざまな角度から捉えたショットをメインにすることで「ステージで踊ることが私(たち)の感情の発露である」ことを表現したような映像に引き込まれました。2番冒頭、リレーされていくソロパートをワンカットで追ったカットが好きな部分。「ともに踊ることでの会話」のような終盤のカットは圧巻です。 
 

推しメン部門

保田圭

昨年の夏ハロコンや娘。横浜アリーナコンサートへのゲスト出演に続き、今年は久々のカジュアルディナーショー開催もあり、歌を聞ける機会があったのは嬉しいところでした。そしてその機会やSNS・ブログなどを通して変わらぬ「歌う姿勢」を感じられました。今後の活動も、変わらず楽しみにしています。 
 

感想みたいなもの

楽曲部門、MV部門とも、得点はすべて同一の2点で、順位は付けずリリース順に記載しています。
今年は個人的な事情で夏以降慌ただしい日々を送っており、特にハロプロ楽曲大賞投票期間がまさに忙しさのピークであったため、投票に時間を割けなかったという事情がありました。
そのためYouTube部門は投票せず、コメントも簡単なものとしています。MV部門『Good Luckの胸騒ぎ』だけコメントが長いのは、MV公開時にあらかじめ書いていたものだからです。
そんな理由もあり個人的にはちょっと消化不良感のあった今回の投票でしたが、楽曲選考自体は仮に時間を掛けていても同じ結果になったのではと考えています。
来年も、たくさんの魅力的な楽曲に出会えることを期待しています。

あの素晴しい愛をもう一度〜2024Ver.

 「トノバン」の愛称で親しまれた音楽家加藤和彦さんのドキュメンタリー映画『トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代』が、5月31日に公開されます。
 以前にこのブログで感想を書いた音楽ドキュメンタリー『音響ハウス Melody-Go-Round』と同じく相原裕美監督の作品ということで、公開をとても楽しみにしています。

tonoban-movie.jp

 この映画のために高野寛さんらによるトリビュートバンド「Team Tonoban」が加藤和彦さんの名曲を新たにレコーディングした『あの素晴しい愛をもう一度〜2024Ver.』が、映画公開に先駆けて配信されています。


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 YouTubeで公開されているミュージックビデオは間奏まででフェイドアウトしていますが、音楽サブスクリプションサービスで配信されている音源では、フルに聴くことができます。

umj.lnk.to 最初、参加アーティストのクレジットをきちんと見ないまま曲を聴いて、間奏明けで衝撃を受けました。そこで歌われている歌詞のように「涙が知らずにあふれてくる」ような感覚を覚えました。
 時間や、空間や、もっと大きなものすら越えて、いまここにいる人たちと、ここにはいない人が、ひとつの作品の中で同時に存在することができる。それが録音作品であるということを、改めて感じさせられました。

 

 音楽ソフト産業が縮小する中で「ライブこそが音楽」という認識が強くなっているような気がします。
 しかし、ライブでしか体験できない音楽の魅力があるように、レコーディングされた作品でしかあり得ない魅力というのも、同様にあると思っています。
 そんな録音作品の魅力を、これからも大事にしたいと思います。

 

 

LOLOETについて

 和田彩花さんが結成し昨年10月に始動したバンド・LOLOET(ロロエ)、私はまだライブを観に行けていないのですが、ありがたいことにバンドの公式YouTubeチャンネルでライブ映像が公開され、ライブ演奏に触れることができました。
 この記事を書いている5月6日の時点で、2月6日におこなわれた高円寺HIGHでのライブから5曲の映像が公開されています。


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 ライブ映像で感じるのは、一般的なポップミュージックとは明らかに異なる感触。多くの曲で一曲の中で曲調が大きく変化しているのは、いくつもの音源をコラージュして構築した録音楽曲を生で再現してるようにも感じ、あえてライブ的でない楽曲をライブで演奏する実験的な演奏のようにも感じます。

 そして、空間を意識させる演奏だという感覚も覚えます。
 ベースの弓弾きやエフェクターをかけたエレキギター、トランペットのロングトーンといった、長く持続する音が印象に残ります。
 またギターにかけられたディレイや、ドラム、トランペットに深くかけられたリヴァーブも、やはり印象に残ります。
 それらの持続する音や、反響と残響を伴った音が、緩やかに空間を埋めていくようなイメージ。
 LOLOETの演奏は、客席が一体となって拳を突き上げたり、一緒に声を上げて歌うようなものではないけれど、ライブハウスという空間でなければ味わえない魅力を持っているものだと、映像を通しても感じさせられます。

 LOLOETはライブ活動が重要なバンドだというのは、別の面からも感じます。
 ライブ会場などで販売されているグッズのTシャツは、古着のTシャツにメンバー自身がシルクスクリーンでロゴを印刷したもの。3月にリリースされた初の音源はカセットテープ。
 四半世紀以上前であれば、メンバー手作りのグッズやカセットテープの音源は、おそらくバンドがグッズや音源リリースを考えた場合に一番手軽に選べる手段であったかもしれません。
 しかしいまは、スマートフォンからでも世界に向けて音源を発信することが可能で、グッズもネット経由で容易に作成ができる時代。
 そんな時代に、あえてメンバー制作のTシャツ、カセットテープでの音源で、さらにTシャツは古着を利用、カセットテープも再生プラスティックを使用と、SDGsを意識したメッセージも見えてきます。
 グッズ制作や音源リリースというバンド活動自体が、楽曲と同様にLOLOETの表現であるように思えます。
 だとすれば、ライブというバンド活動の場に身を置くことで、観客もLOLOETの表現に参加し、作品の一分となることができるのではないか。
 それはきっとLOLOETのライブが持つ特別な魅力ではないかと思います。
 率直に書けば、自分がLOLOETのライブを楽しめるかどうか、わからないというのが正直なところです。でも、LOLOETというバンドはライブを観ることに意味のあるバンドなのだろうと考えています。
 ここ数年ライブハウスから足が遠のいている上に、COVID-19流行の数年を経て腰の重さが増しに増している私なのですが、LOLOETのライブは近いうちに体験してみたいと思っています。

 最後に、もうひとつ。
 LOLOET公式YouTubeチャンネルで現時点での最新の動画『Le bouquet vert』のライブ映像が公開された3月25日には、笠原桃奈さんが在籍するME:Iのデビュー曲『Click』のミュ0ジックビデオも公開されました。
 多くの人に受け入れられるものを目指し、それをひじょうに高いレベルで実現してるME:I。
  いわゆる「ポップなもの」からは、何歩も離れた場所を選んでいるLOLOET。
 かつて同じアンジュルムというグループで同時期に活動していたことのあるふたりが、それぞれのグループでそれぞれの表現をしていて、その作品が同じ日にYouTubeで公開されたことを、私はとても面白く、刺激的に感じています。


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「懐かしい」じゃない11月28日

気がつけばもう1ヶ月以上経ってしまいましたが、11月28日に開催されたモーニング娘。'23のコンサート『「Neverending Shine Show」 SPECIAL』について書いておこううと思います。

 

娘。'23秋ツアーを締めくくる2日連続の横浜アリーナん公演の1日目のこのコンサート、私はライブビューイングで鑑賞しました。

開催発表時からOGメンバーの出演が予告されていたこの公演。私としては、保田圭さんの出演を楽しみにしていて、この文章もほぼ保田さんについてだけ書いていますのであしからず。

 

さて、OG出演パートのトップを飾ったのは安倍なつみさん。流れてきた『トウモコロシと空と風』のイントロに、安倍さんはこの曲か! と、では保田さんの曲はなんだろう? と期待も膨らみます。

そして続いて流れてきたのは、聴き馴染みのあるあのイントロ。そう『シャボン玉』! 田中れいなさん、高橋愛さん、道重さゆみさんと、オリジナルのメンバーでの歌い出しにちょっと感慨も覚えつつスクリーンを観ていると……あれ?

 

保田さんがいる?

 

ご承知のように、保田さんがモーニング娘。を卒業したのは2003年の5月5日。『シャボン玉』は、2003年7月30日にリリースされた、保田さん卒業後の曲。つまり、保田さんは娘。在籍時にこの曲を歌ったことはないわけです。

正直ライブビューイング当日は「保田さんがいる!」という驚きが先に立ってしまっていたので、後日、YouTube番組『ハロ!ステ』で配信されたライブ映像で改めてそのパフォーマンスを堪能しました。(リンクは『シャボン玉』ライブ部分に時間指定しています)

youtu.be

保田さんは、今回のコンサートに参加していないOGメンバーのソロパート数人分を一手に引き受けていて、田中さんに次いで目立つくらいの活躍ぶり。6期メンバーが本格的に活動を開始する前に保田さんが卒業しているため娘。では実現しなかった、保田さんのソロのあとに田中さんのソロが観られるのも嬉しいところです。

それから、最近テレビ番組やライブイベントなどで保田さんが歌うのを観て、声や歌い方がソフトな感じになったかなと思っていたのですが、
曲調に合わせていただけだったんですね(笑)。激しく野性味あふれる保田さんも健在なりと思わされました。

 

この曲に続いての『晴れ 雨 のち スキ ♡』も素晴らしかったです。

もーんング娘。さくら組のこの曲も、保田さん卒業後の曲です。

さくら組おとめ組の組分け自体が保田さん卒業後におこなわれたわけですが、私の中では、もしさくら・おとめ分割時に保田さんが在籍していたとしたら、おとめ組かなというのがありました。それは、当時の保田さんのイメージであったり、2期メンバーふたりが同じユニットになることはないだろうという理由からです。

なので、保田さんが安倍さんや矢口さん、髙橋さんと並んで『晴れ 雨 のち スキ ♡』を歌疎いのは、この20年間想像することすらありませんでした。

でもそれが目の前のスクリーンで繰り広げられていて、保田さんがすごくこの曲に合っている! 保田さんが歌うサビを聴いたときは、私にとっては娘。25周年のアニバーサリーってこの瞬間のためにあったんだなと思いました。

 

今回の公演でのOGによるパフォーマンスを「懐かしい」と受け取るか方は多いと思います。

でも、私にとっては「懐かしい」ものではありませんでした。保田さんが、娘。在籍時には歌ったことのない(「シャボン玉』はドリームモーニング娘。のツアーで歌ったことがありましたが)曲を歌う「新しい」ものなんです。

それは、この日の公演での保田さんに限ったことではなくて、9月に国立競技場代々木第一体育館で開催された『Hello! Project 25th ANNIVERSARY CONCERT「ALL FOR ONE & ONE FOR ALL!」』でも、市井紗耶香さんが娘。在籍時に歌ったことのない『恋愛レボリューション21』に参加したり、辻希美さんと紺野あさ美さんが2期タンポポの『恋をしちゃいました!』に参加したり、OGによる当時の再現ではなくて、OGによる「現在の新しいパフォーマンス」を見せてくれたのが2023年の25周年アニバーサリーだと思っています。

すごく楽しくて、刺激的で、私にとって11月28日の横浜アリーナ公演はそれを象徴する公演でした。

その素晴らしい公演を、ライブビューイングですがリアルタイムで観ることができて本当に良かったです。

 

もうすぐ2023年も終わり。やってくる2024年も、そんな楽しくて刺激がある1年になるといいなと思っています。みなさまよいお年を。(って書いてるうちに年を越しちゃったけど)

ハロプロ楽曲大賞'23

今年もハロプロ楽曲大賞に投票しました。
以下、私の投票内容を記載します。
(ブログの日付は12月7日ですが、内容を記載したのは12月30日です。)

 

楽曲部門

『Wake-up Call ~目覚めるとき~ 』モーニング娘。'23


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決して明るい曲調ではないのですが、閉じた壁を内側から壊すような炸裂感を感じた曲。それだけでも十分サビとして成立しているフレーズに続けて「夜の底で」と畳みかけるように展開していく爆発力がすごい。電子音で構築されたバックトラック、大胆なリズムの変化、ファルセットの多用、ボーカルへのエフェクトといった、近年の娘。楽曲を象徴するような要素を押さえつつ、これまでと違ったタイプの楽曲を作り上げているのが素晴らしいと思います。
 

『でも…いいよ』つばきファクトリー


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冒頭、おそらく意図的に歌詞が聞き取りづらいサウンド・歌い方にしていて、パッと聴いたときに海外の曲? と思うような感覚があって、不思議な浮遊感で曲の世界へと引き込まれます。
わりと半音を多用したメロディだと思いますが、Bメロの最初のフレーズやサビのコーラスパートなど、随所にヨナ抜きのフレーズを入れてオリエンタルなイメージを感じさせているのも巧みな部分だと思います。
歌詞は椿の花言葉である「控え目」ゆえの想いの深さを感じさせる、ある種古典的な歌詞でもありますが、一方で「気づいてないっていう芝居 とっくに限界みたい」「はなやぐ報告 近頃の女子トーク」など、ヒップホップのライミング的な韻の踏み方が用いられているのは面白いと思います。
 

『プライド・ブライト』Juice=Juice


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年少のメンバーが増えたJuice=Juiceが過去の曲をライブでやっているのを観たときに、ちょっと「背伸びしている感」を感じた曲が正直何曲がありました。この曲はそういう曲の路線を引き継ぎつつも「私は 幼い?」のワンフレーズで現在のJuice=Juiceにふさわしい曲になっているように感じました。
Bメロの「Only one or No.1」「Only one & No.1」が「レ ファ ラ レ #ド ファ ラ」「レ ファ ラ レ ド ファ ラ」で、長七度と短七度の半音の違いでこのふたつのフレーズへの主人公の感情の違いをメロディで表現しているようなのも好きな部分です。
 

『グリーン・フラワー』佐藤優樹

歪んだエレキギターアコースティックギター、オルガンといった編成の、骨太とも言えるサウンド佐藤優樹さんの歌声が乗るのが新鮮で、かつマッチしていて魅力的な1曲。
緑の花のクレマチスに象徴させて「理解してくれる関係」を歌った歌詞は、個人的にはシングル収録の6曲の中で一番佐藤さんのイメージに合っているように感じました。
サビの歌詞の澄んだ青空が浮かぶような描写と「両手にいっぱい 奇跡をあげたい」「仰向けに寝て 空抱きしめて」の脚韻が心地よいです。
 

『Ding Dong』佐藤優樹


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サウンドは現代的なダンサンブルなサウンドですが、メロディはヨナ抜き音階を基本にしていて「歌謡曲的」ともいえるような間口の広い普遍さを持った楽曲だと思います。その中でサビ後半の「全て曝け出して」のフレーズはそれまで一度も使われていない四度の音から始まることでそれまでのメロディと違った雰囲気と浮遊感を生み出していて、全体としてかっちりと計算されて作られた「見事な曲」という印象です。
 
配点はすべて2.0点としています。
 

MV部門

『プライド・ブライト』Juice=Juice

室内の装飾や配置された人形に、どこか絵画的な雰囲気も感じました。物の配置や構図、浅い被写界深度やカメラの動きが空間の前後方向の広がりを強調するようになっていて、それがサビ最後の指を手前に突き出す振り付けを効果的に魅せていると思います。

 

『でも…いいよ』つばきファクトリー

屋外でのイメージショットと屋内でのダンスシーンというシンプルな構成ですが、ロケーションの静謐さも相まって、曲の世界にあった映像をしっかりと作り出していると思います。イメージショットではカットごとで画面のサイズが変わることにより、歌詞で描かれる「苦しさ」がより強調されているようにも思いました。メンバーも基本切ない表情だけを見せる中、曲の終盤で配された山岸さんの笑顔がさまざまにその意味を読み取れるようでよいです。

 

『君と僕の絆 feat. KIKI』つばきファクトリー


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メンバーが集ってひとつのものに取り組み、いままでを振り返るという構成が卒業曲のミュージックビデオとして素敵でした。実際のグループのメンバー加入順をなぞるようにメンバーが合流していくという構成になっているのも心憎い演出。青空、夕暮れ、夜と、屋外時間による景色の変化を見せているのもロケ撮影の長所が活かされていると思いました。
冒頭、向かい合っていた浅倉さんとほかのメンバーが同じ方向を向くカットで幕を開け、同じ方向を見ているカットで終わるというのもよいです。

 

楽曲部門で動画を貼っているものは省略しました。配点は楽曲部門同様、すべて2点の配点としています。

 

YouTube部門

【プレゼン#21】モーニング娘。'23『Wake-up Call~目覚めるとき~』編

この曲におけるコー・ライティングがどのように進められていったのかが星部さん自身の解説でよくわかったのが興味深い回でした。
 

浅倉樹々プラトニック・プラネット」歌唱動画

最初は意外な選曲にも思えたのですが、予想以上にハマっていました。Bメロのあたりとか、つばきファクトリー在籍時にも感じられた浅倉さんの湿度の高い節回しが堪能できる感じで、Juice=Juiceのオリジナルとは違った魅力を感じられるカヴァーになっていると思います。
 

【アプカミ#328】モーニング娘。’23 新メンバー レッスン映像・「夢さえ描けない夜空には」管楽器REC・保田圭矢口真里デビュー25周年記念イベントリハーサル MC : 竹内朱莉 岸本ゆめの

娘。2期メンバーイベントのリハーサル風景で、あまり見る機会のない保田圭さんのリハの様子が見られたのが嬉しい回でした。現・ハロプロ在籍メンバーとのコラボレーションで作る過程が見られたのも興味深かったです。
 

 

 【M-line Music#96】モーニング娘。2期 保田圭矢口真里presents「2(に)」ダイジェスト/鈴木愛理ツアー日記/「男友達」「私、ちょいとカワイイ裏番長」/ MC 夏焼雅宮本佳林

時間的にはあまり長くありませんが、2期イベントの模様がダイジェストで観られたのが嬉しかったです。
 

 

【ハロ!ステ#496】 Hello! Project 25th ANNIVERSARY CONCERT ダイジェスト モーニング娘。'23からのお知らせ 胸に響いた歌詞発表会 MC:北川莉央&石栗奏美

興奮の夏の代々木ハロコンOGメンバー出演部分が限られた曲数ではありながら観られたのが投票理由です。

 

配点は順に2.5点、2.5点、2.0点、1.5点、1.5点としています。

 

推しメン部門

保田圭

今年は娘。加入25周年ということもあり、2期イベント、代々木ハロコン、横アリ娘。コンサートと、ステージで歌う機会が多かった保田さん。しかも横アリ娘。コンサートでは娘。在籍時には歌っていなかった曲を歌うという嬉しい趣向もありました。
そのステージ3つを、代々木は生で、ほかのふたつも配信やライブビューイングで観られたのは嬉しい限りです。

 

全体的な感想のようなもの

私の今年の投票内容は以上です。

今回は楽曲部門、MV部門ともあまり迷うことなく選べたという感じです。

YouTube部門に関しては、星部ショウさんのプレゼン動画と、浅倉樹々さんのカヴァー動画をまず選び、あとは今年の投票対象に保田圭さん出演の動画が3本あったのでそれを選んだという感じです。ライブ映像やカヴァー動画などでほかにも数本候補に考えたものもありましたが、今回は保田さん出演動画を優先で。

推しメン部門は、もちろんなにも迷わず。コメントにも書いたとおり、今年は活動が活発だったのが嬉しいところでした。

楽曲部門・MV部門の投票対象数など、いろいろと状況の変化を改めて感じるとこrもありました。来年はどんな状況になっているのか、楽しみにしていたいと思います。

2003年5月5日

 今日は2023年5月5日。保田圭さんが2003年5月5日にさいたまスーパーアリーナで開催されたモーニング娘。CONCERT TOUR 2003春 "NON STOP!"最終公演をもってモーニング娘。を卒業してからちょうど20年となりました。

 そして、それまでアイドルのコンサートを一度も見たことがなかった私が初めて娘。のコンサートに行ってから20年、でもあります。

 簡単ではありますが、節目の年の記録に。

 

 娘。卒業以来、活動の内容は若干変わりつつも、保田さんの活躍を20年間ずっと観続けられているのはありがたいなと思うところです。

 

 

 文章だけでは素っ気ないので、なにか当時の会場周辺の画像でも、と探そうとして、スマートフォンのなかった20年前にはいまほど気軽に写真を撮ることはなかったのだと(私の場合は)気づく、20年とはそんな時間でもあるのですね。