「懐かしい」じゃない11月28日

気がつけばもう1ヶ月以上経ってしまいましたが、11月28日に開催されたモーニング娘。'23のコンサート『「Neverending Shine Show」 SPECIAL』について書いておこううと思います。

 

娘。'23秋ツアーを締めくくる2日連続の横浜アリーナん公演の1日目のこのコンサート、私はライブビューイングで鑑賞しました。

開催発表時からOGメンバーの出演が予告されていたこの公演。私としては、保田圭さんの出演を楽しみにしていて、この文章もほぼ保田さんについてだけ書いていますのであしからず。

 

さて、OG出演パートのトップを飾ったのは安倍なつみさん。流れてきた『トウモコロシと空と風』のイントロに、安倍さんはこの曲か! と、では保田さんの曲はなんだろう? と期待も膨らみます。

そして続いて流れてきたのは、聴き馴染みのあるあのイントロ。そう『シャボン玉』! 田中れいなさん、高橋愛さん、道重さゆみさんと、オリジナルのメンバーでの歌い出しにちょっと感慨も覚えつつスクリーンを観ていると……あれ?

 

保田さんがいる?

 

ご承知のように、保田さんがモーニング娘。を卒業したのは2003年の5月5日。『シャボン玉』は、2003年7月30日にリリースされた、保田さん卒業後の曲。つまり、保田さんは娘。在籍時にこの曲を歌ったことはないわけです。

正直ライブビューイング当日は「保田さんがいる!」という驚きが先に立ってしまっていたので、後日、YouTube番組『ハロ!ステ』で配信されたライブ映像で改めてそのパフォーマンスを堪能しました。(リンクは『シャボン玉』ライブ部分に時間指定しています)

youtu.be

保田さんは、今回のコンサートに参加していないOGメンバーのソロパート数人分を一手に引き受けていて、田中さんに次いで目立つくらいの活躍ぶり。6期メンバーが本格的に活動を開始する前に保田さんが卒業しているため娘。では実現しなかった、保田さんのソロのあとに田中さんのソロが観られるのも嬉しいところです。

それから、最近テレビ番組やライブイベントなどで保田さんが歌うのを観て、声や歌い方がソフトな感じになったかなと思っていたのですが、
曲調に合わせていただけだったんですね(笑)。激しく野性味あふれる保田さんも健在なりと思わされました。

 

この曲に続いての『晴れ 雨 のち スキ ♡』も素晴らしかったです。

もーんング娘。さくら組のこの曲も、保田さん卒業後の曲です。

さくら組おとめ組の組分け自体が保田さん卒業後におこなわれたわけですが、私の中では、もしさくら・おとめ分割時に保田さんが在籍していたとしたら、おとめ組かなというのがありました。それは、当時の保田さんのイメージであったり、2期メンバーふたりが同じユニットになることはないだろうという理由からです。

なので、保田さんが安倍さんや矢口さん、髙橋さんと並んで『晴れ 雨 のち スキ ♡』を歌疎いのは、この20年間想像することすらありませんでした。

でもそれが目の前のスクリーンで繰り広げられていて、保田さんがすごくこの曲に合っている! 保田さんが歌うサビを聴いたときは、私にとっては娘。25周年のアニバーサリーってこの瞬間のためにあったんだなと思いました。

 

今回の公演でのOGによるパフォーマンスを「懐かしい」と受け取るか方は多いと思います。

でも、私にとっては「懐かしい」ものではありませんでした。保田さんが、娘。在籍時には歌ったことのない(「シャボン玉』はドリームモーニング娘。のツアーで歌ったことがありましたが)曲を歌う「新しい」ものなんです。

それは、この日の公演での保田さんに限ったことではなくて、9月に国立競技場代々木第一体育館で開催された『Hello! Project 25th ANNIVERSARY CONCERT「ALL FOR ONE & ONE FOR ALL!」』でも、市井紗耶香さんが娘。在籍時に歌ったことのない『恋愛レボリューション21』に参加したり、辻希美さんと紺野あさ美さんが2期タンポポの『恋をしちゃいました!』に参加したり、OGによる当時の再現ではなくて、OGによる「現在の新しいパフォーマンス」を見せてくれたのが2023年の25周年アニバーサリーだと思っています。

すごく楽しくて、刺激的で、私にとって11月28日の横浜アリーナ公演はそれを象徴する公演でした。

その素晴らしい公演を、ライブビューイングですがリアルタイムで観ることができて本当に良かったです。

 

もうすぐ2023年も終わり。やってくる2024年も、そんな楽しくて刺激がある1年になるといいなと思っています。みなさまよいお年を。(って書いてるうちに年を越しちゃったけど)

ハロプロ楽曲大賞'23

今年もハロプロ楽曲大賞に投票しました。
以下、私の投票内容を記載します。
(ブログの日付は12月7日ですが、内容を記載したのは12月30日です。)

 

楽曲部門

『Wake-up Call ~目覚めるとき~ 』モーニング娘。'23


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決して明るい曲調ではないのですが、閉じた壁を内側から壊すような炸裂感を感じた曲。それだけでも十分サビとして成立しているフレーズに続けて「夜の底で」と畳みかけるように展開していく爆発力がすごい。電子音で構築されたバックトラック、大胆なリズムの変化、ファルセットの多用、ボーカルへのエフェクトといった、近年の娘。楽曲を象徴するような要素を押さえつつ、これまでと違ったタイプの楽曲を作り上げているのが素晴らしいと思います。
 

『でも…いいよ』つばきファクトリー


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冒頭、おそらく意図的に歌詞が聞き取りづらいサウンド・歌い方にしていて、パッと聴いたときに海外の曲? と思うような感覚があって、不思議な浮遊感で曲の世界へと引き込まれます。
わりと半音を多用したメロディだと思いますが、Bメロの最初のフレーズやサビのコーラスパートなど、随所にヨナ抜きのフレーズを入れてオリエンタルなイメージを感じさせているのも巧みな部分だと思います。
歌詞は椿の花言葉である「控え目」ゆえの想いの深さを感じさせる、ある種古典的な歌詞でもありますが、一方で「気づいてないっていう芝居 とっくに限界みたい」「はなやぐ報告 近頃の女子トーク」など、ヒップホップのライミング的な韻の踏み方が用いられているのは面白いと思います。
 

『プライド・ブライト』Juice=Juice


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年少のメンバーが増えたJuice=Juiceが過去の曲をライブでやっているのを観たときに、ちょっと「背伸びしている感」を感じた曲が正直何曲がありました。この曲はそういう曲の路線を引き継ぎつつも「私は 幼い?」のワンフレーズで現在のJuice=Juiceにふさわしい曲になっているように感じました。
Bメロの「Only one or No.1」「Only one & No.1」が「レ ファ ラ レ #ド ファ ラ」「レ ファ ラ レ ド ファ ラ」で、長七度と短七度の半音の違いでこのふたつのフレーズへの主人公の感情の違いをメロディで表現しているようなのも好きな部分です。
 

『グリーン・フラワー』佐藤優樹

歪んだエレキギターアコースティックギター、オルガンといった編成の、骨太とも言えるサウンド佐藤優樹さんの歌声が乗るのが新鮮で、かつマッチしていて魅力的な1曲。
緑の花のクレマチスに象徴させて「理解してくれる関係」を歌った歌詞は、個人的にはシングル収録の6曲の中で一番佐藤さんのイメージに合っているように感じました。
サビの歌詞の澄んだ青空が浮かぶような描写と「両手にいっぱい 奇跡をあげたい」「仰向けに寝て 空抱きしめて」の脚韻が心地よいです。
 

『Ding Dong』佐藤優樹


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サウンドは現代的なダンサンブルなサウンドですが、メロディはヨナ抜き音階を基本にしていて「歌謡曲的」ともいえるような間口の広い普遍さを持った楽曲だと思います。その中でサビ後半の「全て曝け出して」のフレーズはそれまで一度も使われていない四度の音から始まることでそれまでのメロディと違った雰囲気と浮遊感を生み出していて、全体としてかっちりと計算されて作られた「見事な曲」という印象です。
 
配点はすべて2.0点としています。
 

MV部門

『プライド・ブライト』Juice=Juice

室内の装飾や配置された人形に、どこか絵画的な雰囲気も感じました。物の配置や構図、浅い被写界深度やカメラの動きが空間の前後方向の広がりを強調するようになっていて、それがサビ最後の指を手前に突き出す振り付けを効果的に魅せていると思います。

 

『でも…いいよ』つばきファクトリー

屋外でのイメージショットと屋内でのダンスシーンというシンプルな構成ですが、ロケーションの静謐さも相まって、曲の世界にあった映像をしっかりと作り出していると思います。イメージショットではカットごとで画面のサイズが変わることにより、歌詞で描かれる「苦しさ」がより強調されているようにも思いました。メンバーも基本切ない表情だけを見せる中、曲の終盤で配された山岸さんの笑顔がさまざまにその意味を読み取れるようでよいです。

 

『君と僕の絆 feat. KIKI』つばきファクトリー


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メンバーが集ってひとつのものに取り組み、いままでを振り返るという構成が卒業曲のミュージックビデオとして素敵でした。実際のグループのメンバー加入順をなぞるようにメンバーが合流していくという構成になっているのも心憎い演出。青空、夕暮れ、夜と、屋外時間による景色の変化を見せているのもロケ撮影の長所が活かされていると思いました。
冒頭、向かい合っていた浅倉さんとほかのメンバーが同じ方向を向くカットで幕を開け、同じ方向を見ているカットで終わるというのもよいです。

 

楽曲部門で動画を貼っているものは省略しました。配点は楽曲部門同様、すべて2点の配点としています。

 

YouTube部門

【プレゼン#21】モーニング娘。'23『Wake-up Call~目覚めるとき~』編

この曲におけるコー・ライティングがどのように進められていったのかが星部さん自身の解説でよくわかったのが興味深い回でした。
 

浅倉樹々プラトニック・プラネット」歌唱動画

最初は意外な選曲にも思えたのですが、予想以上にハマっていました。Bメロのあたりとか、つばきファクトリー在籍時にも感じられた浅倉さんの湿度の高い節回しが堪能できる感じで、Juice=Juiceのオリジナルとは違った魅力を感じられるカヴァーになっていると思います。
 

【アプカミ#328】モーニング娘。’23 新メンバー レッスン映像・「夢さえ描けない夜空には」管楽器REC・保田圭矢口真里デビュー25周年記念イベントリハーサル MC : 竹内朱莉 岸本ゆめの

娘。2期メンバーイベントのリハーサル風景で、あまり見る機会のない保田圭さんのリハの様子が見られたのが嬉しい回でした。現・ハロプロ在籍メンバーとのコラボレーションで作る過程が見られたのも興味深かったです。
 

 

 【M-line Music#96】モーニング娘。2期 保田圭矢口真里presents「2(に)」ダイジェスト/鈴木愛理ツアー日記/「男友達」「私、ちょいとカワイイ裏番長」/ MC 夏焼雅宮本佳林

時間的にはあまり長くありませんが、2期イベントの模様がダイジェストで観られたのが嬉しかったです。
 

 

【ハロ!ステ#496】 Hello! Project 25th ANNIVERSARY CONCERT ダイジェスト モーニング娘。'23からのお知らせ 胸に響いた歌詞発表会 MC:北川莉央&石栗奏美

興奮の夏の代々木ハロコンOGメンバー出演部分が限られた曲数ではありながら観られたのが投票理由です。

 

配点は順に2.5点、2.5点、2.0点、1.5点、1.5点としています。

 

推しメン部門

保田圭

今年は娘。加入25周年ということもあり、2期イベント、代々木ハロコン、横アリ娘。コンサートと、ステージで歌う機会が多かった保田さん。しかも横アリ娘。コンサートでは娘。在籍時には歌っていなかった曲を歌うという嬉しい趣向もありました。
そのステージ3つを、代々木は生で、ほかのふたつも配信やライブビューイングで観られたのは嬉しい限りです。

 

全体的な感想のようなもの

私の今年の投票内容は以上です。

今回は楽曲部門、MV部門ともあまり迷うことなく選べたという感じです。

YouTube部門に関しては、星部ショウさんのプレゼン動画と、浅倉樹々さんのカヴァー動画をまず選び、あとは今年の投票対象に保田圭さん出演の動画が3本あったのでそれを選んだという感じです。ライブ映像やカヴァー動画などでほかにも数本候補に考えたものもありましたが、今回は保田さん出演動画を優先で。

推しメン部門は、もちろんなにも迷わず。コメントにも書いたとおり、今年は活動が活発だったのが嬉しいところでした。

楽曲部門・MV部門の投票対象数など、いろいろと状況の変化を改めて感じるとこrもありました。来年はどんな状況になっているのか、楽しみにしていたいと思います。

2003年5月5日

 今日は2023年5月5日。保田圭さんが2003年5月5日にさいたまスーパーアリーナで開催されたモーニング娘。CONCERT TOUR 2003春 "NON STOP!"最終公演をもってモーニング娘。を卒業してからちょうど20年となりました。

 そして、それまでアイドルのコンサートを一度も見たことがなかった私が初めて娘。のコンサートに行ってから20年、でもあります。

 簡単ではありますが、節目の年の記録に。

 

 娘。卒業以来、活動の内容は若干変わりつつも、保田さんの活躍を20年間ずっと観続けられているのはありがたいなと思うところです。

 

 

 文章だけでは素っ気ないので、なにか当時の会場周辺の画像でも、と探そうとして、スマートフォンのなかった20年前にはいまほど気軽に写真を撮ることはなかったのだと(私の場合は)気づく、20年とはそんな時間でもあるのですね。

佐藤優樹さんソロデビューシングル

 3月29日佐藤優樹さんのソロデビューシングルがリリースされました。
 タイトル曲2曲に通常盤A・B・C・Dそれぞれに収録されたAdditional Trackも合わせた6曲は、予想以上に幅広い楽曲群で驚かされました。
 同時に、どの曲にもどこかに「懐かしさ」が共通して漂っているようにも感じます。
 タイトル曲『Ding Dong』はサウンドは現代風なデジタルサウンドながらメロディはヨナ抜き音階をベースにした、ある種「歌謡曲」っぽいメロディとなっています。
 タイトル曲のもう1曲『ロマンティックなんてガラじゃない』は、現ダウ風なモータウンサウンド
 通常盤C収録の『プラスティック・ジェネレーション』は1980年代シティ・ポップを思わせます。
 インタビューやラジオ番組などでの佐藤さんの楽曲についての発言にも「懐かしい」とか「レトロ」といった言葉が使われていることも多いようで、制作段階から「懐しさを感じさせるポップソング」というのがコンセプトのひとつとしてあったのかなと想像します。

 


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 実は、佐藤さんのソロデビューを知ったとき、ハロプロハロプロOGの中ではちょっと異色な路線になるのかなと勝手に想像していました。過去の発言などを見ると、佐藤さん自身はネット発クリエイターなどの楽曲にも興味があるようですし、ご本人のその嗜好が反映されれば、ハロプロやほかのハロプロOGの楽曲とはやや趣の異なる曲になるのではないかと思っていたのです。
 実際の楽曲は、悪い意味ではなく、どれも佐藤さん以外が歌っても成立するような楽曲となっており、そのストレートさは意外でもありました。
 ORICON MUSICに掲載されたインタビュー記事を読むと、ソロデビューに際してあえてご本人から意見は出さなかったようで納得感がありました。(前後編のインタビューの後編にリンクしています。前編は→https://www.oricon.co.jp/news/2273074/full/

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 制作サイドには、佐藤優樹さんに一度スタンダードなポップソングを経験させようという意図があったのではないかと思います。
 それは歌詞の面にも感じられます。
 たとえば『Ding Dong』の情熱的な恋へと落ちていく女性像や、『ロマンティックなんかガラじゃない』の同世代の女性が共感するような女性像も、佐藤優樹さんに合わせたとしたら出てこない歌詞なのではないかと思います。 
 やはり、制作側からあえて佐藤さんのキャラクターを意識しないようにという発注があったのではないかと想像します。
 (個人的に今回の楽曲群の中で一番佐藤さん本人とイメージが重なるのは『グリーン・風ラワー』です)

 デビューシングルの6曲は、佐藤優樹さんのシンガーとしての魅力を堪能できる楽曲群だと感じています。
 これからの活動の中で、佐藤さん本人が制作過程にも関わり、クリエイターとして面も見せるようになったとき、そこで生み出されるのはどんな楽曲になるのか、今後も楽しみです。

 

 各音楽ダンロード販売サイトでは、シングル6曲をまとめた「Special Edition」がダウンロード販売されています。iTunes Storeでは購入前にもプレヴューで1分以上試聴できるので、タイトル曲2曲以外をまだ聴いていない方はぜひ聴いてみてください。

 娘。時代にはなかったような、生々しいギターのサウンドに佐藤さんのボーカルが乗る『グリーン・フラワー』は新鮮に感じました。

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ハロプロ楽曲大賞'22

今年もハロプロ楽曲大賞に投票しました。

以下、私の投票を記載します。

(ブログの日付は12月7日ですが、実際に内容を記載したのは12月9日です)

 

楽曲部門

『弱さじゃないよ、恋は 』つばきファクトリー


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3.0
どこかケルティックなテイストも感じさせるリフから始まり、ベースがタイトに8分を刻むイントロで一気に引き込まれます。Aメロで女性ボーカルにしては低い音も使い、Bメロ、サビへの盛り上がりを強調しているのは実に巧みだと感じます。2番Aメロでの歌に呼応するように変化をつけるハイハットも気持ちいいです。
情景描写と心情の表現を織り交ぜて、景色の中に感情が浮かぶような歌詞も素敵です。「街の風景を見て“綺麗”と思ったときにそれを共有する相手が傍にいる喜び」を「「綺麗だね」って素敵ね」の短いフレーズで表現しているのが見事です。
まさに歌詞のように「なぜかこみ上げる 泣けてくる」1曲。
「ひとりでいないことを選ぶのは弱さではない」という歌詞のモチーフは、同じ作詞者によるJuice=Juiceの『「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?』とどこかで通じるものかなとも思います。

プラトニック・プラネット (Ultimate Juice Ver.)』Juice=Juice


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2.5
まさに「圧巻」。ペンタトニックを使った印象深い冒頭の「愛 愛 愛 愛」からイントロも間奏も最小限でひたすら歌の力で最後まで引っ張っていかれるような感じ。
アフロディーテ」「ほらね見て」、「マグダレーネ」「もしかして」の押韻も気持ちよく耳に残ります。
個人的に大好きなのがギターソロで、ワントーンで1小節押しきるエモーショナルなプレイで始まり、後半ではちょっとジャジーなテイストの音使いへと。激しさと洗練が同居しているようなギターソロは、この曲全体を象徴しているように思えます。

(※アルバム収録曲でミュージックビデオがないため、公式のアルバム紹介ムービーを再生開始時間を設定して貼り付けています。)

雨の中の口笛 / Juice=Juice


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2.0
「ダーリンこの先で」のフレーズで幕を開け、直後の「はぐれたりしないでね」で(「はぐれたーり」と歌われているため)「ダーリン」と「たーり」と似た響きを重ねていく気持ちよさに引き込まれました。その後のウ段が続く「トゥトゥ トゥルトゥ」のあとに「並んで歩く」と、最後にウ段ふたつが並ぶ脚韻も、きちんと収まる心地よさがありました。
中盤の「相合傘」「ないない、まだ」「曖昧だな」と「A−I−A−I−A−A」を重ねていくライミングも気持ちよいですし、同時に韻を踏まない「愛してる」のフレーズを引き立てていると思います。
全体的に韻の気持ちよさを感じる曲でした。

(※アルバム収録曲でミュージックビデオがないため、公式のアルバム紹介ムービーを再生開始時間を設定して貼り付けています。)

ないものねだり / Bitter & Sweet


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1.5
アコースティックギターと軽く歪んだエレキのストロークで始まるイントロからもうたまらない。シンプルなようで随所で動いて躍動感を生み出すベースや、さり気なく効果的に使われるタンバリンなど、楽器のアンサンブルがとにかく魅力的です。
「いい子」が抱く葛藤を歌う歌詞もBitter & Sweetのふたりに合っているように感じます。あまり歌詞には使われそうもない「うらぶれて」という言葉を使っているのも一つの引っ掛かりを作っていて効果的。2番サビで「ほんとに大事なことは何だ? ありのままでいることなんだ」と、同じ「なんだ」の発音で問いと答えにしているのも好きな部分です。
 

GYB!! / HY:RAIN


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 1.0
この曲を「ハロプロ楽曲大賞」で入れることに迷いも感じましたが、この曲が劇中歌として使われていたアニメ『シャインポスト』は今年かなり入れ込んだ作品なので、その意味もあって入れることにしました。
半音を巧みに使った「Get you back! Get,get you back!」を連呼するフレーズがとにかく印象的。(そのパートをAメロとして、以下B、C、D、サビとすると)Cメロ、Dメロ、サビはA、Bとは異なり四七抜き音階で作られており、メリハリを付けるとともにキャッチーさを生み、全体として耳に残りやすい曲になっていると思います。
歌詞は別れた恋人に「あなたにふさわしいのは私なのだからあなたを取り戻す」と呼びかける内容ですが、アニメ本編ではこれが別のアイドルグループで活躍する友人でありかつての仲間への気持ちの表現として使われていたのが曲の印象をより強くしています。

 

ハロプロ楽曲カバー部門

『寒いね。(2020 Ver.) 』佐藤優樹×金澤朋子


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5.0
素晴らしかった。それだけです。

Memory 青春の光小田さくら×岸本ゆめの


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0.5
昨年YouTube部門で投票しているのですが、今年もこの部門で投票対象になっていたので改めて。

モーニングコーヒー浅倉樹々×北川莉央


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0.5
昨年、YouTube部門で迷った末に投票しなかったのですが、今年この部門で投票対象となっていたので改めて投票です。

 

MV部門

『Teenage Solution』モーニング娘。'21


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2.0
AメロからBメロ途中まで、カメラが移動する長回しのカットをつなげることで擬似的なワンシーンワンカットにしているのが気に入った部分です。特にメンバーの動きを追ったカメラの横移動やパンがシネスコサイズの横長の画面によって引き立てられ効果的だと思います。
冒頭など随所にインサートされる屋外での自然光を活かした仰角のカットも印象的でした。

プラスティック・ラブ / Juice=Juice


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2.0
被写界深度が浅く、フィルムルックに仕上げられたロケ撮影のイメージシーンが曲のイメージに合っていて好きな雰囲気です。
メンバー全員が揃う屋上ロケのサビでは、夜に撮影されたカットをスタンダードサイズで挟み込むのが、曲の主人公の見る人によって違う別の面を象徴しているようで効果的に感じました。

『Piece of Peace ~しあわせのパズル~』アンジュルム


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2.0
サビの屋外での全員ショットが、1番サビと2番サビではやや雲がかかった光の中で撮られていますが、間奏後のサビは晴れた陽の光に照らされていて、同じ場所、基本的に同じ振り付けにもかかわらず違った印象を与え、歌が伝えるドラマをより引き立てているようでした。そのサビのカットが印象に残ったのが投票理由です。

 

YouTube部門

【アプカミ#286】「アドレナリン・ダメ」ギター&ベースREC・「雨の中の口笛」江端妃咲 ボーカルレコーディング・「ハムカツ黙示録」ガヤレコーディング MC : 山岸理子 江口紗耶


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2.0 前身番組からずっと楽器レコーディング映像を頻繁に流してくれていた『アプカミ』は、2021年7月を最後に(ハロプロメンバーが演奏したもの以外は)楽器レコーディングが配信されることはなくなり、これはもう企画が終了したのだなと思っていたところ1年以上を経て楽器レコーディングが復活して嬉しかったのんがこの回でした。いまのところ2022年はこの回を含めて3回楽器レコーディングが配信されていますが、来年も続けて配信されることを祈っています。

【歌ってみた】メイキング


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2.0
高橋愛さんの「歌ってみた」企画はもちろんカバー曲も含めてどの曲も素晴らしかったのですが、レコーディングの様子を映したメイキング編を。高橋さんの歌への角田崇徳ディレクターの指示も含めて興味深い映像でした。『シャボン玉』レコーディングでテストのつもりのテイクで「このテイクで終わりでいいと思うんだけど」となるところや、その場にいるスタッフにアイディアを募るところなど、面白かったです。

元祖【踊ってみた】紺野あさ美ちゃんと初コラボ!モーニング娘。そうだ! We’re ALIVE踊ったよ♪


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2.0
高橋愛さんと紺野あさ美さんが久々に、しかも娘。の曲を踊るという企画自体がもうたまりません。娘。在籍時のメンバーカラーに合わせたふたりの衣裳もよかったですし、娘。時代のエピソードも出てきたふたりのアフタートークも楽しかったです。

ONE PLUS ONE筒井澪心×高橋愛気まぐれプリンセス


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2.0
娘。曲を歌い踊る高橋さんの姿が見られたのが嬉しかった企画です。なんか映画やコミックの登場人物にいそうな感じの高橋さんの衣裳と髪型もいいですね。
パフォーマンスのあとのトークも興味深い内容。
Aメロで歌声にエフェクトがかかっていないこの曲を聴くのがちょっと新鮮でした。

SONGS/モーニング娘。


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2.0
加賀楓さん振り付けの娘。ダンス動画は、娘。が普段踊っているダンスとは音との合わせ方に違うニュアンスが感じられて興味深かったです。3曲どれもよかったのですが、複数人のダンスが楽しめてかつ加賀さん本人も参加しているこの曲を。

 

推しメン部門

保田圭

おそらく保田さんがいなければハロプロにここまで興味を持つことはなかったと思いますし、いつまでも私の基礎となる存在です。

動画は2013年12月の保田さんバースデイライブから、YouTube番組『UF LICKS』で配信された『I WISH』の一部をクリップ機能で抜粋したものです。よければ曲全体聞いてみてくださいね。

 

全体的な感想のようなもの

私の今年の投票内容とコメントは以上です。

楽曲部門については、単純に気に入っている曲を選んで4曲はあまり悩まずに決まりました。残る1曲に選んだのは、BEYOOOOONDSの高瀬くるみさんが声優として出演しているアニメの曲でこれを「ハロプロ楽曲」に入れることに躊躇も感じたのですが、やはり気に入った曲ではあったので。つばきファクトリー『弱さじゃないよ、恋は』がすごく気に入っていたので、これを最高ポイントとしてデフォルトの配点で点を付けました。

MV部門は、正直今年は飛び抜けて気に入ったものはなかったので、投票した3曲を全部同点で。

カバー曲部門に関しては、チェックしていない曲が多かったため、当初はこの部門はパスするつもりでした。しかし、YouTube部門の投票対象だと思っていた金澤朋子さんと佐藤優樹さんの『寒いね。』がYouTube部門でなく、この部門でしか投票できなかったため、投票することにしました。そのため、ほかの2曲に関しては3曲揃えるためだけに選んだところがあります。ちょっと自分では良くない投票の仕方かなとの想いも残っています。

YouTube部門に関してはなにしろ投票内容が膨大なのですが、個人的に「楽曲」に関するもので気に入ったものを選んだつもり。60%が高橋愛さん関連となりました。ちなみに高橋愛さんのYouTubeチャンネル「高橋愛lab.」では昨年も秀吉さんのアコースティックアレンジによる「『恋ING』歌ってみた」や、中島卓偉さん作詞作曲によるオリジナル曲制作ドキュメントなど投票対象なら入れたかったコンテンツがアップされていたのですが、なぜか昨年は投票対象に入っていなかったことを書き添えておきます。

 

個人的な印象として、今年は投票で戸惑う点がいくつかありました。

新設の「ハロプロカバー曲部門」は、グループの過去曲の現メンバーによるバージョン、いわばリメイクと番組などの企画でのカバーを一緒に扱うことに少し疑問がありました。

また、カバー曲部門とYouTube部門両方で同一コンテンツが投票対象となっていたり、一連のシリーズ企画である「COVERS -One on One-」が映像ソフト化されている分と未ソフト化分で別部門となっているのも違和感を感じています。

まあでもそれが主催者サイドの判断なんでしょうから。

来年以降、またどんなかたちで開催されるかも期待しています。

 

『シャインポスト』は《ありふれない》

 7月から放送・配信されているアニメ『シャインポスト』を毎回楽しく観ています。
 女性アイドルグループを題材とした作品です。主人公は、100人レベルの会場も埋められないアイドルグループ・TiNgS(ティングス)。大会場での単独コンサートを満員にできなければグループ解散と告げられた彼女たちが、ある「能力」を持つ新任マネージャーのアドバイスを受けながら、少しずつステップアップしていく物語です。
 作品を知ったきっかけは、たまたまツイッターのタイムラインに「面白い」という感想ツイートが流れてきたことでした。なんとなく興味を惹かれてアイドルものだという知識もないまま配信で第1話を観たところ続きが気になり、その時点での最新話だった4話を観終えたときにはすっかり引き込まれていました。
 なぜこの作品に惹かれるのか自分でもよくわかっていなかったのですが、その後も視聴を続けるうちにその理由が少し「見えてきた」感じがしたので、ここに文章としてまとめておこうと思います。

 『シャインポスト』の登場人物は誰も、たとえば「いつも明るく前向き」であったり「ちょっとトボけた優等生」だったり「自信満々でわがまま」だったり、ヴィジュアルも含め、みんな「わかりやすいキャラ」のように見えます。
しかし、物語が進んでいく中で、実はその「キャラ」は、あえて「そう振る舞っている」もので、その奥にある人物像が浮かび上がってきます。
 この過程が実に魅力的です。
 オープニング主題歌の歌詞に「つきたいウソなんて あるわけないよ」とあるように、『シャインポスト』は「ウソ」が作品の大きなキーとなっています。
 『シャインポスト』は、この「ウソ」=表面的なキャラと、その向こうにあるものを描くことで¥、登場人物を「ありがちなアニメキャラ」に留まらず、作品世界の中で「生きている人物」として描き出そうという姿勢があるように感じています。
 また、その人物を描くための語り方も巧みです。2話あるいは3話で構成されるひとつのエピソードは、序盤はコミカルな描写も織り交ぜられ、ライトなタッチです。そのため作品にすんなりと入っていきやすく、いつの間にか登場人物の深い部分に触れていく展開に、自然に引き込まれていきます。
 この「導入は入っていきやすい」語り方は、登場人物が「一見するとわかりやすいキャラ」であるのと相似であると言えるかもしれません。

 ほかにも、登場人物のひとりが「ダンスが下手」という設定を、セリフで説明したりダンスレッスンで転ぶといったわかりやすい表現を使うだけでなく、ライブシーンで「ほかのメンバーと動きがズレている」のを映像として見せる技術も見事です。

 そして、各エピソードのクライマックスが必ずライブシーンに設定され、ステージでのパフォーマンスとファンのリアクションの中で登場人物が答えを見出していくところは、この作品が、アイドルを「ステージでファンにパフォーマンスを見せる存在」であることを大事にしているように思えて、好ましく感じるところです。

 おそらく『シャインポスト』は、簡単な作品紹介などを見たときに「こういうアニメなのかな」と想像するのとは、少し違った作品になっているのではないかと思います。この作品ならではの魅力をたくさん持った、独特な作品であると思います。
 多くの動画配信サービスで配信されているので、興味を持たれたらぜひご覧になっていただきたいです。私が特に好きなのは4話と7話なのですが、1話から観ないと面白さが充分に伝わらないと思うので結局は全話観ようねってことですね。

 新型コロナウイルス感染症流行の影響による製作遅延により一時休止していた放送・配信もいよいよ再開。物語がどう展開していくのか、そして主要な登場人物の中でまだその人物像が描かれていないマネージャーの「キャラの向こうにあるもの」は描かれるのか、楽しみにしています。

 

※文中引用はTINGS『ワンダー・スターター』(作詞:ヤマダヒロシ/作曲:高田暁)より

 


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anime.shinepost.jp

 一応このブログはハロプロの話題を書くはずのブログなので最後に『シャインポスト』とハロプロの関係を書いておくと、主人公たちの目標となるコンサートの会場はハロプロでおなじみ中野サンプラザだよ!
 あと劇中に登場する人気アイドルグループ・HY:RAIN(ハイレイン)のメンバーのひとりの担当声優はBEYOOOOONDSの高瀬くるみさんだよ!

劇団東少ミュージカル『人魚姫』


 9月25日に、小川麻琴さん主演の劇団東少ミュージカル『人魚姫』サンシティホール公演を観劇してきました。

サンシティホール前の『人魚姫』ポスター

 通常は、東京の三越劇場で数日間の東京公演をおこなったのち、地方での公演がおこなわれる劇団東少の夏公演ですが、今年は新型コロナウイルス感染症の影響により三越劇場の全公演が中止となってしまいました。地方公演のみとなった今年の夏ミュージカル、行きやすい会場での公演があり、それが無事に開催されたのは幸いでした。

 劇団東少のミュージカルはポピュラーな童話が原作の児童向けのもので、今回はみなさんご存知であろうアンデルセンんの『人魚姫』が原作。キャラクターの名前などに一部劇独自のアレンジがありますが、基本のストーリーは原作そのままで、人間の王子に恋して自分の声を引き換えに人間となったものの王子と結ばれることはなかった人魚姫の悲恋が描かれていきます。

 小川麻琴さんが演じるのは、人魚の国の姫で15歳の誕生日を迎えたマリーナ。

 劇の序盤でマリーナがひとりで歌う場面があるのですが、ここの小川さんの歌がすごくよかったです。ちょっと「小川さんの歌ってこんなだっけ?」と、いい意味で驚くくらい。それだけに、マリーナが声を失うという展開の残酷さと哀しさがより強く感じられた気がしています。

 また、声を失うという展開上、二幕ではマリーナはほぼセリフなしとなるのですが、セリフがなくとも感情が伝わるような小川さんのお芝居は見事でした。

 先に書いたように、物語は基本的にアンデルセンの原作童話のとおりなのですが、ラストの、おそらくこのミュージカル独自であろうアレンジは、ひじょうに印象的なものでした。

 マリーナが海の泡となり、誰もいなくなったステージで、小さな光が星空へと昇っていき、ミュージカル『人魚姫』は幕を閉じます。
 この光が空へと昇っていくのは、原作童話のラストで泡となった人魚姫が空へ昇り「空気の娘」と呼ばれる存在となるのに由来しているのだと思われます。
 ただ、ミュージカル『人魚姫』のラストには、原作とは違った意味も込められていたのだと思います。

 ミュージカル『人魚姫』の序盤には、海の上の世界を見ることを許されたマリーナが、初めて空を見て「空の上にはなにがあるの?」と姉たちに尋ね「空の上を見てみたい!」と無邪気にはしゃぐ場面があります。

 光が昇っていくラストは、この場面と対応していると思うんですね。

 マリーナは、愛した人と結ばれるという願いを叶えることはできなかったけど、でも「空の上を見てみたい」という無邪気な願いは叶ったんだよ。そんな意味を持ったラストに思えました。

 結末をハッピーエンドにするような大きなアレンジをぜず悲劇のままではあるけれど、そこにひとつのささやかな救いは感じさせるような幕の閉じ方であったと思っています。

 約2時間という上演時間が短く感じるような、作品へと引き込まれる素敵なミュージカルでした。

 ぜひ、またこのキャストで再演されることを願っています。