壊れやすさ

10月より3ヶ月間、毎週楽しみにしていたアニメ『宝石の国』が先ごろ最終回を迎えました。

私がこの作品を知ったのは、エンディング主題歌の作詞・作曲・編曲・プロデュースをミュージシャンの鈴木慶一さんが手がけているという情報を目にしたのがきっかけでした。

その情報だけで、ほかにはまったく予備知識を持たないまま(原作コミックがあることすら知らず)第1話を観たところ、すっかり魅了されてしまい、そのまま最終回まで視聴を続けた次第です。

 


TVアニメ『宝石の国』EDテーマ「煌めく浜辺」ノンクレジット映像

 

自分がなぜこのアニメに惹かれたのかを考えると、少女のような姿をした登場キャラクターたちが「僕」「俺」と男言葉で喋るという部分がひとつの理由ではあるかなと思います。

私は金子修介監督の映画『1999年の夏休み』のように、少女が少年の役を演じる作品に魅力を感じることが多いです。最近のハロー!プロジェクトの舞台「演劇女子部」も、それに近いですね。

宝石の国』にも、それと同じような空気を感じていたところは、間違いなくあると思います。

 

もうひとつの大きな理由は「美しさと残酷さ」が共存しているように感じたところです。

作品中では「宝石」である登場キャラクターたちが砕けるという描写が幾度となく登場します。それは、画だけを見ればショッキングにも感じる描写です。美しいキャラクターが次の瞬間には砕けてショッキングな姿となりうるという、危うげなバランスがこの作品にはつねにあったようにも思えます。

 

それは「壊れやすさ」と言い換えられるかもしれません。

登場キャラクターたちは、みな砕け散る「壊れやすさ」を持っています。

また、宝石たちが送る、時に楽しく穏やかな日常は、つねに「月人」と呼ばれる存在によって「壊される」可能性を秘めています。

そして、主人公とほかのキャラクターの関係もまた、重なりそうで、でも重ならない「壊れそうな」もどかしさがある。

そんな、さまざまな「壊れやすさ」に私は惹かれていたのかもしれません。

  

すでにDVDやBlu-rayのリリースが始まっており、また有料配信もされていて、一部の回は無料で視聴することもできるようです。

オンエア期間中には何度か全話の無料配信もおこなれており、もしかしたら今後もなにかの機会に全話の無料配信や、あるいはテレビでの再放送がされる機会もあるかもしれません。

もし機会があれば、ぜひ作品に触れてみてください。

 

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