ハロプロ楽曲大賞’19

毎年恒例の「ハロプロ楽曲大賞」、2019年も参加しました。以下に私の投票内容を記載します。(※12月11日付けになっていますが、内容を記載したのは30日です)

 

楽曲部門

つばきファクトリー『ふわり、恋時計』


つばきファクトリー『ふわり、恋時計』(Camellia Factory[Softly, the clock of love.])(Promotion Edit)

四七抜き音階をベースにした「和」を感じさせるメロディ。歌詞もその雰囲気に合わせた言葉がセレクトされていますが、しかし「和」にこだわりすぎることのない絶妙なバランスの仕上がりになっていると思います。「さよならの残像」や「かさぶた」というフレーズで、過去の恋が残したものを説明するのではなく感じさせるのも好きな部分です。そして、サビで「て」で脚韻していくのが印象的なのですが、その始まりが「手折って」なのが素晴らしい。日常的に使われる言葉ではないからこその固さや静謐さが、この曲全体の色を決め、戸惑いながらも自分の心に向き合う主人公の凛とした在りようを描き出していると思います。

 

こぶしファクトリーハルウララ


こぶしファクトリー『ハルウララ』(Magnolia Factory [Haru Urara-Beautiful Spring])(Promotion Edit)


「見守ることはできるけど、見守ることしかできない」関係を描く歌詞。メンバーの声が、歌が、その関係の中にある感情をより繊細に、そして鮮やかに際立たせていくようです。特に間奏明けのパートが描く感情は絶品。さらに、曲を表情豊かに染め上げていく多彩なコーラスワークや印象に残るフェイクなども印象に残るところ。もちろん、どこか郷愁を誘うような12弦ギターの響きや、歌心あふれるドラム、メロディアスなギターソロなど、歌に寄り添い支えるようなアレンジワークも気持ちいいところです。ドラマティックに曲の世界を作り上げていく「声の力、歌の力」を感じた1曲でした。

 

Juice=Juice『微炭酸』


Juice=Juice『微炭酸』(Juice=Juice[Lightly Sparkling])(Promotion Edit)


爽やかなイメージを連想しがちな『微炭酸』というタイトルで切ない歌という心地よい裏切り感。しかもただ意外性を持たせるだけでなく「弾けた」恋や「弾け切れない」私というように「微炭酸」という単語を巧みに「叶わなかった恋」と結びつけていく歌詞に惹かれました。また、歌詞が基本的に「状況」や主人公の「心情」の描写で進んでいく中、Cメロ明けでスッと「情景」の描写を入れることで絵を浮かばせるところも好きな部分です。一度聴いたら覚えられるほど印象の強いサビのメロディや、自然に転調の流れを作っていくメロディも見事。イントロで下降したフレーズが、同じ音色で上昇して終わるところがドラマを感じさせます。

 

カレッジ・コスモス『わたし革命』


カレッジ・コスモス『わたし革命』(College Cosmos [My Revolution])(MV)

ファーストシングルに比べメンバーのソロパートが増えてより「個」を印象づけるカレッジ・コスモスのセカンドシングル曲。上下の動きが大きなメロディはファーストから一貫した部分ですが、特にこの曲では山木梨沙さんの声質がメロディの高音部分をより引き立てていて耳に残るところ。歌詞の面でも前作から引き続き、学生時代の葛藤やSNSといった題材をうまく歌詞に織り込んでいると思います。そしてサビの「わたし革命 鳴らせファンファーレ」でのエ段での脚韻(「革命」の「め」が強く発音されるため)がとにかく気持ちいい。ベースのフレージングや、イントロからAメロでのギターの単音カッティングのカッコよさなど、インスト面でも聴きどころ満載。

 

Juice=Juice『ポツリと』


Juice=Juice『ポツリと』(Juice=Juice[Solitary])(Promotion Edit)

セヴンスの音を印象づけるピアノのフレーズの反復と、人工的なサウンドのリズム、U2風のディレイのかかった幻想的なギター。むしろ無機的な雰囲気を漂わせるサウンドから、サビで一転、ストリングスなどが加わり荘厳さすら感じさせるスケールの大きなサウンドへと変化するところが魅力です。「ポツリと」独りでいることの寂寥感を歌うサビが雄大サウンドに乗った厚みのあるユニゾンで歌われるのは歌詞の内容とあっていないようでもありますが、逆説的に歌詞で綴られる感情を強く訴えていると思います。間奏明けのソロパートで、ほかのパートでは抑えられていたような生々しさを感じさせるのも魅力的です。

 

MV部門

こぶしファクトリーハルウララ

ロケパートでは(おそらく)桜の花を目立たせるためにかなり暖色系に振ったカラーグレーディングがされていますが、それゆえにメンバーの衣装の一部に使われているブルーや何度か映し出される青空の青が引き立って美しい絵を作っています。特に冒頭のカットでのヘッドフォンの色がアクセントとなった色合いのバランスが素晴らしいです。イメージシーンでのシルエットを用いた演出も巧みだと思いました。

カントリー・ガールズ『One Summer Night ~真夏の決心~』


カントリー・ガールズ『One Summer Night ~真夏の決心~』(Country Girls [One Summer Night -midsummer decision-]) (MV)


  本来は恋愛の歌であるところを、歌詞で描かれているシチュエーションやイメージを活かしつつも重心を恋愛から女子グループの友情へとスライドさせ、爽やかさと切なさのある青春ストーリーとして映像化しているところにうまさを感じました。スマートフォンに表示されるメッセージを用いることで、セリフや過度に説明的なカットを使うことなくストーリーを伝えているところもテクニックを感じた部分です。

 

カレッジ・コスモス『夢は意地悪』


カレッジ・コスモス『夢は意地悪』(College Cosmos[Dreams are mean.])(MV)

メンバー自身による文章を文字として映し出すというストレートな手法を使う一方で、メンバーの衣裳の色とリンクするような「白い部屋と青空」「白とブルーの風船」、さらに「他者の視線」を象徴するようなカメラ、歩いている・駆け出す足元という、直接的ではないイメージ描写を重ねることで葛藤や迷い、そこからの決意を感じさせている点が印象に残りました。光と影の巧みな使用も好きな部分です。

推しメン部門

保田圭

理由は簡単にはまとめられないので割愛とさせていただきます。

 

後記的なもの

楽曲部門はこの順番で投票しましたが配点はすべて同一の2.0、MV部門はデフォルトの3.0、2.0、1.0という配点にしてあります。

実は楽曲部門ではわたし的に大きな出来事がありました。ハロプロ楽曲大賞に参加しはじめて以来、おそらく初めて娘。の曲を入れませんでした。娘。のノミネート曲が少なかったという理由もありますが、投票する曲を考えているときに『I surrender 愛されど愛』は入れるかどうかはすごく悩みました。ただ、実際に投票したほかの曲のほうにつよく惹かれてしまったというところです。

こうして自分の選んだ5曲を見てみると、今年は奇をてらわずストレートな曲に私の志向が向いていたのかなと思っています。

また、今回5曲すべてシングル曲となっていますが、別に自分でシングル曲だけから選ぼうと縛りを設けていただけではなく、たまたまつよく惹かれた曲を5曲選んだらシングル曲になったということです。

MV部門は、印象に残っていた3曲であまり迷わず。

推しメン部門は、まあ当然ですよね。

 

今回も、ほかの方のコメントなどを見るのを楽しみにしています。