非対称な切なさ

2月13日にリリースされたJuice=JuiceのトリプルA面シングルは、どれも初めてラジオオンエアで聴いたときから気に入っていた曲で、リリースを楽しみにしていました。

その中の1曲『微炭酸』は、昔からの友達だった「君」に彼女ができたことで揺れる「私」の気持ちを歌った切ないナンバー。
爽快感の象徴として使われることの多い「炭酸」を「弾ける恋」に重ね切なさのイメージと結びつけた歌詞の発想が秀逸だと思います。
「微炭酸しゅわしゅわ」というサビのフレーズは1回聴いただけで覚えてしまえそうなくらい印象的。自然に転調していくメロディの流れもきれいです。

2番の歌い出しの歌詞は

友達なら隠し事はしないでいようね
まだ子どもでいられた日の 約束が憎い

約束を守って、彼女ができたことを友達に隠さない「君」。
いつの間にか「君」に想いを寄せていたことを「君」に隠してしまっている「私」。
非対称なふたりの関係が切ないです。
でも「私」も約束を破ってはいないのかもしれません。
「私」にとって「君」は、もう「友達」ではなく片想いの相手になっているのだから。

 


Juice=Juice『微炭酸』(Juice=Juice[Lightly Sparkling])(Promotion Edit)


信号がちかちか
誰にも聞き取れない小さな声で
「好き」がこぼれた

信号待ちしているとき、正面に見える信号は赤から青に変わるのだから、点滅しませんよね。
「ちかちか」と点滅する信号が「私」の目に入ったとするのなら、「小さな声で 「好き」がこぼれた」とき、「私」は横を向いていたのではないでしょうか。
隣に立つ「君」のほうを向いていたのか、それとも「君」の反対側を向いていたのかは、わからないけれど。

 

♯ファ・ソ・ レ ♯ファ・ソ・ レ ♯ファ・ソ・ レ ラ・シ・ソ
と、一旦上がってから下降するフレーズが印象的だったイントロ。
アウトロでは、同じ音色が
ド・♭レ・♭ラ
と上昇するフレーズを奏でます。
下降で始まり、上昇で終わる。
ここにこの曲の描く「ドラマ」を感じます。

 

 

※引用部はJuice=Juice『微炭酸』作詞:山崎あおい/作曲:KOUGA より